TPPの現状

○TPP発効までの概略

TPPは元々ニュージーランド、ブルネイ、シンガポール、チリの4ヶ国で始まった協定です。そこにオーストラリアやアメリカ、ペルーなどが続々と参加を表明し、2013年の日本の正式参加を一旦の区切りとして事実上参加国が締め切られ、2015年に12か国で署名されました。

その後2017年にアメリカが離脱し、日本が残った11か国をまとめ上げて2018年12月30日にCPTPP(TPP11)として発効しました。


○CPTPP発効から現在に至るまで 加入候補国の状況

TPP発効から様々な国がTPPに関心を示してきました。

・台湾

イギリスの正式に加盟を申請した翌日に、台湾の外交部(外務省)は「最も有利なタイミングで正式申請を行う方針だ」と表明しています。元々日本も台湾の参加について歓迎する意を表明しており、TPPの盟主であり今年の議長国でもある日本がリーダーシップを取って加入を促していってほしいですね。

・イギリス

先月正式にTPPへの参加申請を行いました。イギリスはAPEC参加国ではないため、TPP参加についての委員会の設置に全加盟国の参加が必要になりますが、この「加盟国」とは批准国のことであり、イギリスはTPPの全批准国と個別のFTAを締結済みか、あるいは交渉中(未交渉はブルネイとマレーシアのみ)ですので、問題なく委員会は設置されるでしょう。なおTPP発効後の新規加入は初ですのでその後の交渉については未知数の部分が大きく、今後の状況を注視する必要があります。

・タイ

イギリスの前に新規加盟が最有力視されていましたが、推進派だった閣僚が交代してしまいTPPへの加盟は遠退きました。逆にRCEPについては推進に積極的な姿勢を見せており、日本を中心とする経済圏よりも中国を中心とする経済圏へシフトしようとしている動きが伺えます。

そういう意味でもタイの重要性は増していますが、菅総理の初外遊はベトナムとインドネシアの2ヵ国でタイは含まれませんでした。第二次政権の安倍総理の初外遊がベトナム・インドネシア・タイの3ヵ国だったことを踏まえると、今のタイの情勢を差し置いてもタイを外遊先から外したのは残念に思います。

・アメリカ

そして元々署名まで済ませたのに離脱してしまったアメリカですが、バイデン政権もTPPを含む自由貿易協定に慎重な姿勢を示しており、早期復帰はないでしょう。

なおアメリカは昨年7月にUSMCA(改正NAFTA)を締結しており、そこにはUSMCA加盟国が非市場経済国との協定を締結した場合には、他の締約国は6か月前の通告によりUSMCAを終了させることができる(その場合、残る2か国間の協定に移行)という規定が盛り込まれました。ほぼ中国狙い撃ちの規定ですが、昨年カナダが中国とのFTA交渉を打ち切ったのはこの規定が大きく影響したものと思われます。

仮にアメリカがTPPに加入していればUSMCAから追放されたところでTPPによる繋がりが残り、中国の加盟についてカナダやメキシコが反対する理由が弱くなりますので、逆説的ではありますがアメリカはTPPに加入しない方が対中包囲網は強力になるとも言えます。

・コロンビア

2018年に正式加盟を申請した(とメキシコの経済相が表明した)と報じられてから何の動きも見せておらず、状況は不透明なままです。

・中国

TPPへの参加について秋波を送り続けています。TPP参加国でもないのに台湾の参加について「台湾の地域経済協力への参加は、一つの中国の原則に基づいて処理しなければならない」などと(主に東南アジア諸国を)牽制しており、日本政府は「TPPの参加要件に主権を有する国家という項目は無い」ので台湾のTPP参加は『一つの中国』に反しないと宣伝してほしいと思います。

台湾の早期TPP加入を応援する会

日本の友好国である台湾の早期TPP加入を応援する会のHP

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