台湾がTPPに参加することの意義

○経済的意義

・サプライチェーン

台湾が世界に誇る産業といえば、TSMCをはじめとする半導体産業です。

半導体は消費者がそのまま使用する「最終消費財」ではなく、スマートフォンやパソコン、自動車などに使用される「部品」です。台湾がTPPに加入すれば、日本は台湾製の半導体を使用した自動車などの「製品」をTPPの関税率で輸出することができるようになり、輸出拡大が期待されます。


・農作物・水産物輸出

2020年の日本の農畜産物・水産物輸出先のランキングは1位香港、2位中国、3位アメリカ、4位台湾、5位韓国となっています。もはや香港は中国の一部となり、中国や韓国とはRCEPという自由貿易協定を締結、アメリカともFTA交渉を進めています。つまり農畜産物・水産物の主要輸出国で日本が何の貿易協定も結んでいないのは台湾だけであり、日本の農産物輸出額を拡大させる最短の道は台湾との貿易協定にあります。

また現在台湾は福島県など5県産の食品について輸入規制を行っておりますが、TPP参加交渉を行う際にはこちらの問題の解消も期待されます。


○政治的意義

・対中包囲網の強化

オバマ元米大統領がTPP署名時「中国のような国に国際経済のルールを書かせてはならない」と表明したように、TPPは対中包囲網としての性質を強く持つ協定ですが、そんな協定に中国が秋波を送っています。アメリカは離脱してしまいましたが、TPPには日本、オーストラリア、ニュージーランド、そしてイギリスとクアッドやファイブアイズに属する国が多い協定であり、仮にTPPのルールをクリアできたとしても中国の参加は容易ではありません。

しかしアメリカUSTRのライトハイザー代表が「いずれ中国がTPPに入る」と語っているように、将来的な懸念は拭えません。そこで先に台湾がTPPに加入していれば、TPP加入時には「全加盟国の承認」が必要ですので、台湾が中国を警戒する限り中国はTPPに参加できないことになります。


・TPP内のパワーバランス

今年イギリスがTPP加入の正式申請を行いました。どのくらい時間がかかるかは不明ですが、イギリスはTPP11のうち9ヶ国と個別のFTAを締結または交渉中であり、まず問題なく加入となるでしょう。

そうするとイギリスを含めたTPP12の加盟国のうち、イギリス、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、マレーシアと半数にあたる6ヶ国がいわゆるイギリス連邦に属する国となり、今は名実ともに日本がTPPの盟主ですが、イギリス参加後には主導権を握られてしまう懸念があります。

台湾がTPPに参加すればイギリスを含めたTPP13のうち過半数の7ヶ国(6ヶ国+1地域)が非イギリス連邦となりますので、もちろん多少の変動はあるでしょうが今のパワーバランスが大きく崩れる事態は避けられるでしょう。

台湾の早期TPP加入を応援する会

日本の友好国である台湾の早期TPP加入を応援する会のHP

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